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2017.04.19

イノベーションは、どこから生まれるのだろうか?

15年以上前にハーバード大のNarayanamurti教授が以下の図を使って、サイエンスとテクノロジーが融合して、新しい化合物、材料、既知材料の新規構造、物性が出現して、学際的(Interdisciplinary)研究の重要性を言及している。なお教授は、組織、研究室のトップが、学際的研究をしようというのは実際には進まず、学生がラボに自由に出入りできるところから学際的研究が進むようなことを話されていた。下記の例示の中には生物関連のものはないがワトソン・クリックの2重らせんの発見から、現在では遺伝子組み換え植物やタンパク質の医薬等は、遺伝子組み換えで生産されるようになっている。IPS細胞等の再生治療研究も盛んになってきている。

 

前号で言及したIoTやAIは、日本では、ここ3,4年に、急に話題になっていて、今年は猫も杓子もAIといっている。日本の特徴として多くの人が群がるところに行こうとする傾向が強いのではないだろうか?シュンペーターの新結合は、恐らく学際的研究から生まれると考えられるが、一次産業の農林水産業は、他の工業分野と比較して限られた企業しか、IoTやAIとの組合せを考えていないのではないだろうか?日本の食料自給率は40%以下であり、現在はいろいろな国から輸入ができるが、最近の世界の情勢を考えると食料の自給率は上げる努力をすべきではないかと思う。現に水産では温泉を利用したふぐやすっぽん等の養殖ができるし、砂漠地帯で植物工場を造っているところがある。日本の一次産業の養殖栽培技術は優れているように思う。

日本の大企業は、現在、又は近い将来の市場サイズが大きくないと研究開発を行わないが、一次産業への参入は、そう簡単ではないが、技術力を持っている大企業の積極的な参入はイノベーションへの一つの道ではないかと考える。

(波瀾千丈 2017年4月19日)

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